海辺に戻りつつある日常

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     講談社の『Day to Day』という連載企画がある。毎日違う作家が書き下ろし文を寄稿していて面白い。ご興味のある方はご一読を(こんな短編も)。

     さて4月の緊急事態宣言を受けて海岸から人の気配が消えていた天草。それもそのはず、ゴールデンウィーク中は日に3回も防災無線で『屋外のレジャーを自粛して、釣りや潮干狩り、キャンプなどはしないで下さい』と繰り返し放送していた。広報カーでも海岸を巡回する念の入れよう。堤防には『コロナ感染防止のため当分封鎖』という張り紙がされ、三角コーンで立ち入りを禁じていた。釣り人からは『どうして釣りばかり目の敵にするのか』という恨み節も聞かれたくらいだ。

     その甲斐あって、天草からは一人の感染者も出さずに宣言が解除された。放送も張り紙もコーンもなくなった。そして迎えた大潮。天草の海辺を訪ねてみた。

     午前中は満潮の時間帯だ。宮田漁港の堤防には、久しぶりに釣り人の姿が戻った。

     

     

     栖本町との境の海には3週間ぶりにカーボンフリーな櫓漕ぎのおじいさんの姿も戻った。自粛の必要などなかったと思うが、いわゆる”同調圧力”が働いたのか。でも元気そうでよかった! 背景の富士山は産島(地元では”天草富士”と呼ぶ)。

     

     

     えびすビーチでは早くも泳いでいる子供たちがいた。

     

     

     あちこちの堤防に親子の姿が戻っている。長い自粛は辛かったよね・・・

      

     

     午後は干潮の時間帯。海から顔を出した瀬にも磯釣り人の姿が戻った。

     

     

     えびすビーチには潮だまりの生き物を獲っている子供たちがいた。理科の宿題かな?

     

     

     釣りの次に目の敵にされていた潮干狩りはどうだろう。地元の磯にはカキや海藻を採っている人がいたが、潮干狩りの本場、本渡瀬戸に行ってみた。おー、いるいる。何か所か人の群れがある。

     

     

     団体からちょっと離れたところに親子連れの姿。子供たちも楽しそう。よかったね! 向こうには建設中の瀬戸大橋工事の航路監視船が見える。

     

     

     有明方面に目を向けるとおじさんの後ろについて行く子供達。「はよけ!(早くおいで!)」これから獲り方を教えるらしい。その向こうには砂の縞模様がきれいに並んでいる。

     

     

     干上がると本当に狭い本渡瀬戸。砂州に囲まれた狭い航路を、御所浦行きの栄久丸が行く。まるで砂の中を走ってるみたい。

     

     

     みんな海に出たくてうずうずしてたんだね。子供の姿がないと天草の海らしくないよ。みんなよく我慢したね! 2020年5月29日


    Stay Home 用サプリメント

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       Stay Home の巣ごもり生活は、家族関係にも微妙な影を落とす。例えば夫婦。朝早く仕事に出掛けて夜遅く帰って休日は朝からゴルフの練習に行く。そんな夫が毎日家にいて仕事するわ、休日も外出自粛で家に居るわ。妻にしてみれば夫がいない時間が長いのが普通だったのに調子が狂っちゃうし、夫は居候みたいな居心地の悪さを感じてしまう。そんな微妙な空気に少しだけ役に立つサプリメントを、ここ天草からお届けしたい。

       キジバトの夫婦が雨の日によくここで語らいのひと時を過ごしている。一緒にいるだけで楽しかったあの頃の気持ちをちょっとだけ思い出してみるのはいかが?

       

       

       早春には群れで飛び回っていたカワラヒワが、桜の花が咲くころにはパートナーと仲良く寄り添っていた。

       

       

       一日一回一時間程度の散歩の途中。畑の中に生えている木に止まったホオジロの夫婦に出会った。このあと仲良く同じ方向に飛んで行った。

       

       

       一羽でいるところしか見たことがないキツツキ(コゲラ)だが、この日はペアで外食。

       

       

       海の上にも仲良しがいっぱいいる。冬の渡り鳥としてやってくるヒドリガモの夫婦。天草の海辺で冬によく見られる。

       

       

       ピッタリ息が合った飛翔を見せるカワウ。こんな姿を見たら、羽に釣り糸が絡んでお一人様生活をしているウが余計気の毒に感じる。

       

       

       天草でどうしても外せないのが貴重な海鳥、カンムリウミスズメ。春の穏やかな海の上を寄り添うように散歩していた。

       

       

       いかがだったろうか。仲の良い鳥たちの姿が心のヒアルロン酸になってくれれば幸いだ。

                                       2020年5月22日


      哀しみの ウッ!

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         3月下旬、複数の方から浦川でカワセミを見たという情報をいただき、探しに出掛けた時の事だ。この川は感潮河川で河口の水位は大きく変わる。廃船にカワウが一羽止まっていたので何気なく撮影した。

         

         自宅に戻って写真を見たら、背中の白いものに気が付いた。拡大してみた。

         

         こいつ、怪我してる!

         

         何となく気になって、数日後同じ場所に行ってみた。いた。怪我は治ったのかな? でもこちらを向いていたので背中の怪我の状態は分からなかった。

          

         

         その一週間後。やはり背中に盛り上がりがある。まだ治ってない・・・

         

         この日はお目当てのカワセミの鳴き声を聞いた。姿を探していると飛び去る後ろ姿が見えたが写真は間に合わなかった。でもいることは確認できた。

         

         さらに一週間後。まだ左肩に違和感が残っている(プロ野球のピッチャーみたい)。

          

         怪我してる割には意外と元気そうで 歩く姿も普段と変わりないように見える。早く治るといいね。頑張って!

         

         さらに一週間後。相変わらず一羽で廃船の近くにいた。もう一か月以上このカワウを観察しているが、まだ完治してないみたい。

         

         この写真を拡大して驚いた。怪我の原因は実は人間だった。下の拡大写真を見て欲しい。矢印の先にループした釣り糸が見える。

         

         幸い、絡んでいるだけで血が出たりしているわけではなさそなので一応安心はしたが、ウも辛いだろう。仲間から離れて彼(彼女?)は一人で暮らしている(単にお一人様を満喫しているだけかもしれないが)。群れてないから「3密」にも当たらないか。

         できれば釣り糸を取ってあげたいのだが・・・       2020年5月15日


        一日一回一時間程度のウォーキング

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           疫病対策の自粛が続く中、3密を避けての一日一回程度の散歩は精神衛生上むしろした方がよい。しかし過密都市東京では難しいのではないかと心配だ。仕事は在宅で、学校も休み、外食に出るな旅行はするな。これではちょっと道や公園に出ただけで人が集まってしまう。

           その点当地は人とすれ違わずに散歩することはいとも簡単だ。Stay-Home-Weekを乗り切って、新緑の季節の生き物に出会いに国指定史跡『棚底城跡』近くの水辺を歩いてみた。

           東京で「誰ともすれ違わずに10分間歩き続ける」ゲームと、我が町で「10分内に道で出会った人にこんにちわと声をかける」ゲームは難易度が同じかも。この日は田んぼで作業しているおじさんの姿を見かけたものの、道を尋ねるほどの距離には近づけない。3密の心配どころじゃない。

           棚底城跡に着いた。ちょっと来ない間にパンフレットボックスが設置されていた。

            

           

           棚底城の入り口脇には山の神様(地元では「やんかんさま」)が祀られていて、神様の向こうは溜池になっている。

           

           カルガモが泳いでいた。

           

           

           みなもを見ていると、何となくモネの睡蓮を思い出した。

           

           でもね、この水草は睡蓮でもジュンサイでもなかったのよ。いったい誰なんだろうね・・・

           

           溜池の周りにはノイバラが咲いていて、花にハナアブが忙しそうに頭を突っ込んでいた。

           

           

           倉岳登山道とXアスロンのトレールコースの入り口看板前。昆虫が道案内してくれる。その名も『みちあんあい』(ニワハンミョウ)。七色とはいかないが、結構おしゃれな昆虫だ。なぜかこいつは人が歩く方向に先回りして、まるで道案内しているような行動を取る。向こうにしてみれば「何で人間はいつも俺らがよける方向にしか歩いてこないんだ!」って言ってるかも。

           

           

           今年は天草Xアスロンも中止になってしまったが、入口の看板にシオカラトンボが止まっていた(下の写真の看板の左上に注目)。

           

           

           ミスジチョウもいた。

           

           

           看板から登山道に入ったら、今度はカワトンボがお出迎え。

           

           

           正面から見たらまるで「ロボトンボ」。

           

           

           ロボトンボだけでなく、イトトンボもいる。アジアイトトンボの♂。

           

           

           同♀。深緑をしている。

           

           

           何かカゲロウみたいにひらひらと落ちた。近づいて見ると羽化したばかりのシオカラトンボ。しっとりと濡れたような羽が光っている。

           

           そしてこちらが飛び回るようになったシオカラトンボ。羽の質感の違い。

           

           

           これでちょうど一時間程の散歩。人間には会わなかった。 2020年5月8日


          Stay Home 週間

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             今週は"Stay-Home-Week"。天草ではまだ新型コロナ感染者が一人も出ていないが、市役所は毎日何度も防災無線で海に向かって「コロナ感染防止のために釣りや潮干狩りも自粛して」と呼びかけてる。何もそこまで、と思うが一旦感染者が出てしまえば医療崩壊に直結しかねないので致し方ないかも。

             例えは悪いが、「自宅謹慎状態」なので窓からの景色を眺める時間が多くなる。天草ライフは生き物が多いので意外に面白い。空を見上げればいつでもトンビとツバメが飛んでいるし朝はイソヒヨドリのさえずりで起こされる。野鳥は季節ごとに種類が入れ替わる。しかし冬に餌付けができないかと作った餌台にはまだ食べに来てくれない。

             

             強風が吹くと餌が飛ばされ地面に落ちる。するとスズメなどが目ざとく見つけて食べているから、板の上に餌があることは分かっていても警戒して来ないのだろう。きっかけがないと無理なのか?人懐っこいヤマガラに期待しているのだが、脚立や石垣には止まっても台の上には止まってくれない。

             

             

             天草は猫も多い。三毛猫は子猫を産むとうちに連れてくる。可哀そうだから追い払わないでいると居つく。そして成長するといなくなる。でも時々思い出したようにふらりとやって来る。この白い猫もそう。去年死んだ”へぐろちゃん”の弟だ。兄弟でよくここで遊んでいたことを懐かしんでいるみたい。僕らのことも分かっていて、「しろ!」と呼ぶと懐かしそうに近づいてくるので撫でてやったりする。

             

             今うちには白の弟と妹の兄妹猫が居付いている。お気に入りは濡れ縁にあるザル。今日も仲良くお昼寝。母猫は恋の季節で子猫にはもはや関心がない。

             

            へぐろもこのザルの中でよく昼寝してたな・・・

             

             池にヒヨドリがやってきた。カラスの行水と違って、直接池にタイブして豪快に水浴びする。連続写真でどうぞ。

             

             

             でもこの鳥は我が家の敵なんだよね。集団でやってきて庭の花や若芽を食べてしまう。先月花を食べられたさくらんぼ。残った実が色づき始めたので、用心棒を雇ってヒヨドリたちと闘争中だ。

             

             

             とまあ、こんな調子で読書の合間に窓の景色を見ながら過ごすのもいいものだ。でも毎日だと一週間持たないかも。やはり一日一回くらいは人がいない所への散歩くらいはした方がいい。都会では散歩に出たら図らずしも3密を作ってしまうが、田舎に住んでいれば安全な散歩は普通にできる。

             こんなことを予想していた訳ではないが、定年前に田舎に移住していて正解だったと思う。スカイツリーの展望台から見た首都圏の殺伐とした灰一色の景色を思い出してほしい。そこに人々は何層にも重なって住んでいる。過密なんてもんじゃない。東日本地震の時も今回のコロナもそうだが、脆くて危険だという事に目を向ける機会なのかもしれない。  2020年5月1日


            有明のまぐろ? タコじゃないの?

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               有明町と言えばタコの町。タコの炊き込みご飯や干物が有名だ。そこにまぐろ、と言っても「鮪」じゃない。「真黒」の話だ。

               天草は恐竜の時代から哺乳類の時代までの間にできた地層が、地殻変動で持ち上げられ、斜めに傾いて「ケスタ地形」を形作っている。しかし上島に聳え立つ倉岳山は、マグマが地層の弱いところを突き破って上がって出来たものだ。マグマが上がってきたのなら、マグマ近くの地層は熱で「オーブン加熱」状態になっているはずだ。そんな岩石がないか、御所浦白亜紀資料館の学芸員さんに聞いてみたら「有明町のまぐろ石(真黒石)がそうだ」と教えてくれた。

               倉岳山の北側にあたる有明海に面した海岸に行ってみた。天草市有明町。道の駅は臨時休業でひっそりしている。リップルランドの海岸のリアルなタコのモニュメントがお出迎え。リアルででけ〜!

               

               御所浦で恐竜のモニュメントも制作している方による作品だそうだが、これには「参った降参」だ。タコ壷のフジツボまでリアルにできている。

               おっと、タコでなくてまぐろだった!タコ広場から波打ち際まで下りられるように階段が整備されている。

                

               

               ♪誰もいない海。二人の愛を確かめたくって♪ なんて古いよね〜。でも珍しく人がいた。何か拾ってる。シーグラス(ガラスのかけらが波で洗われてきれいなタイルみたいになったもの)かな。

               

              アクセサリーでも自作するのかな?いずれにしても離れているので3密の対象外。安心して散歩を続ける。

               

               浜辺は丸い石ころで埋め尽くされているが、黒い石が多い。この黒い石が『真黒石(まぐろ石)』なんだそうだ。

               

               拡大するとこんな感じの石ころ。黒でない石は真ん丸だけど、黒い石は角が丸まっただけのいびつな形のものが多い。。

               

               

               拾ってみると真っ黒で固く滑らかだ。まぐろ石同士を叩いてみると金属音がする。正体は「ホルンフェルス」。ブラタモリでもよく出て来る岩石。大昔の泥が固まって出来た”泥岩”(でいがん)がマグマの熱でオーブン焼きにされて固くなった石だ。とても固くて緻密で風化しにくい。だから真ん丸なまぐろ石が見当たらないんだ!いびつな形だからこんなことも出来る。

               

               

               ここ有明の海岸に転がるまぐろ石は、実はどこから出てきたかがまだ分かっていないそうだ。背後にマグマが「貫入」して出来た山があるわけだから、この近くの沢沿いの斜面のどこかにあるのだろうが・・・

               ホルンフェルスの産出地を突き止めたら地方紙に載るかもしれません。皆さん、いかがです?  2020年4月24日


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              プロフィール

              管理人のたかぴーです。2017年、定年を待たず少〜しだけ早く退職して天草に移住しました。東京での生活が正常だと思っていたのが間違いだった。とりわけコロナで過密都市の恐ろしさを実感している所です。ここ天草はWithoutコロナ生活を送れるパラダイス。是非お越し下さい。

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